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海底軍艦 Comments (6)
東宝特撮1963年の作品。
一連の作品群の中でも、特に好きな一作。
特撮SFもしくはSFアドベンチャーと言うより、“空想冒険活劇”と言うに相応しい、その醍醐味がたっぷり!
謎の蒸気人間が頻繁に目撃。
正体は、ムウ帝国工作員。
1万2千年前、大繁栄を誇りながらも、一夜にして太平洋に沈没したムウ帝国が、かつての栄光を取り戻そうと侵略を進めていた。
そんなムウ帝国が恐れるのは、ただ一つ。
旧日本海軍・神宮司大佐が建造したとされる“海底軍艦”の存在だった…。
東宝メカの中でも今も尚不滅の人気を誇る海底軍艦こと“轟天号”。
潜水艦に巨大なドリルを付け、ブリキのおもちゃみたいなデザインながら、海中は勿論空も飛び、カッコ良さは色褪せない。その後派生作品や新デザイン、「ゴジラ FINAL WARS」でも再登場したほど。
海竜マンダとの闘いは名シーンの一つ。
伊福部昭の重厚なマーチ曲がこれまた素晴らしい。
世界を脅かすムウ帝国の侵略の魔の手。
対する事が出来るのは、海底軍艦だけ。
海底軍艦出撃の説得の為、かつての上官は神宮司大佐が居る太平洋上の島に赴くが…。
かつての上官と死んだとされていた部下の再会は、涙を誘うものではなかった。
時が止まったままの神宮司。海底軍艦建造も、大日本帝国再建の為。
「戦争は終わり、世界は変わったんだ」
元上官の説得に対する神宮司の叫びが虚しい。
「だからまた海底軍艦で変えてやります!」
涙を流した人物は居た。
神宮司の娘、真琴。
夢にまで見た父との再会。
しかし…
父は娘との再会に優しい言葉の一つも掛けず、ただの戦争キチ○イ。
「夢で見てた方が幸せでした」
が、父も娘の写真を肌身離さずずっと持っていた。
本当は心底、娘を想っていた。
それを伝えられぬ不器用な父…。
最愛の娘の悲痛な言葉は、父の錆び付いた心を動かす…。
半世紀以上も前の作品なので、いつもながらツッコミ所は多々、好き嫌いも分かれる。
ヒロイン藤山陽子は正統派の美人だが、高島忠夫演じる主人公とのロマンスがいつの間にか進んでてびっくり。
ムウ帝国人も皇帝陛下も、キャラ描写やら設定やらまあチープ。(何で日本人が演じる?…なんてのは愚問)
また、一部では右翼的とも言われているが、決してそうじゃないと思う。
神宮司も自分の考えは間違っていたと改めるし、失われた栄光にしがみつくムウ帝国人や皇帝の姿は悲壮感を駆り立てる。
田中友幸Pのペンネームでもある“神宮司”。東宝特撮の名脇役、田崎潤にとっても最大の当たり役。
掻き立てる冒険とロマンと設定…。
超久し振りに見てもやっぱり面白い、東宝特撮指折りの娯楽活劇だ!
DVDで3回目の鑑賞。
原作は既読です。
「海底軍艦」…このタイトルが堪らん! 男の子の心の琴線を揺さ振って来ますねぇ…。この力強い四文字に無条件で興奮してしまうのはもはやオタクの性です。許して下さい(笑)
地上へ侵略を開始したムウ帝国に対し、太平洋戦争中、極秘裏に建造されていた海底軍艦“轟天号”が出撃!
迎え撃つは、ムウ帝国の潜航艇と守護竜マンダ! 海底を舞台に繰り広げられた死闘に手に汗握りました。
――
轟天号のデザインのカッコ良さに心底痺れました。小松崎茂氏は神様です。その雄姿はまさに、“人類最後の希望”に相応しいものと言えますなぁ〜! ドリルはいいぞ(笑)
アニメや特撮に登場するメカニックのデザインは、殆どが東宝特撮作品の影響を受けている気がするんだよなぁ〜。まさに原点。この轟天号もスタンダード確立してるよなぁ〜。なんだか誇らしい気持ちになって来ました(笑)
――
轟天号とマンダとの戦いや、ラストのムウ帝国大爆発もすごいですが、個人的に推したいのが、ムウ帝国の地震攻撃によって壊滅する東京丸の内のシーン。オフィス街が陥没して崩れ落ちていく様が大迫力! 創意と工夫に満ちたシーンの数々は、今なお決して色褪せていませんなぁ…。
――
神宮司大佐に痺れました…。彼のカッコ良さに浸るためだけに本作があっても構いません、って感じです(笑)
苦悩の末に、滅亡の淵に立たされた人類とムウ帝国に誘拐された愛する娘を救うため、勇躍出撃しました。まさに武士道、葉隠の精神!(葉隠の使い方合ってる?)
特撮映画に戦記物の要素がプラスされたことで面白さ倍増! 帝国海軍の遺産と言える最終兵器の存在が、目眩くロマンを掻き立てて来ました。心底堪りませんでした。
【余談】
ムウ帝国工作隊23号の“ムウ帝国”の発音、耳にこびり付きません?(笑) 独特なセンテンスの切り方と云うか、どう表現したらいいか分かりませんが、なんか変わってない?(笑) ストレートに言えばいいのに力が籠ってると云うか…(笑)
【余談2】
小学生の頃に原作を読みましたが、ムウ帝国もマンダも影も形もありませんでした(笑) 昔ながらの海洋冒険奇譚をめちゃくちゃ脚色して完成させたんですねぇ…。恐れ入りました。
ちなみに押川春浪は、2019年に放送された大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に登場していて、とても驚きました。まさか“天狗倶楽部”の一員だったとは…(笑)
※鑑賞記録
2020/10/10:Amazonプライム・ビデオ(4回目)
2020/10/17:Blu-ray
巨視的な視点で楽しむべきです
とにかく海底軍艦がカッコ良すぎです
世界中の特撮好きはこの海底軍艦のフォルムに魅せられているのです
男の子なら誰でも海底軍艦のような万能戦艦の絵を、子供の頃に一生懸命書いた事が有るはずです
詳細な内部構造図まで書いて
そのフォルムは大抵海底軍艦が基本的なフォルムで共通していました
巨大な円筒形、先端にドリル、後尾にはロケットエンジンのノズルです
どこかで見かけた本作の海底軍艦のイメージがそうさせているのかも知れません
しかしこれはフロイト的な深層心理がもたらしているフォルムなのだと思います
つまりこれは形を変えた男性器なのです
それが空を飛ぶ
空を飛ぶ夢はフロイト的には性的な夢であることは常識です
そしてドリルは言わずもがなです
だから、海底軍艦は世界的に男の子の憧れなのだと思います
このように巨視的に改めて本作の物語も俯瞰してみると、色々と見えて来るものがあります
ムー帝国は戦争を放棄した平和憲法の日本侵略を意図します
邪魔になるのは正規の軍隊ではないけれども、軍備を持つ組織です
ムー帝国はその解散を要求するのです
結局、日本は国際社会の承認を得て、その軍備に出動を要請します
侵略は開始されます
まず離島にコマンド部隊が上陸し占領を始めます
避難する住民達は警察に制圧を求めますが、警官は強盗とは訳が違うんだぞと為すすべが無いことが明示されています
なんと敵の上陸部隊はドローンを使用した攻撃を行っています
そして、日本の心臓部、丸の内に攻撃が加えられます
映像は地下からの攻撃ですが、巨視的に観れば通常弾頭での弾道ミサイル攻撃を受けたように見えます
海底軍艦の反撃はどうでしょう
なんとムー帝国に斬首作戦を行い、皇帝を捕虜にしているではありませんか
そして、敵の軍事的策源地にピンポイントで攻撃を行います
現代の軍事理論でいうところのRMAの考え方その物です
本作の冒頭は来年に東京オリンピックを控えて首都高など近代的に再建され経済的に発展した日本の首都東京を背景に劇が進行します
つまり憲法9条の精神だけで安心していては、最早この繁栄を取り戻した日本の安全を却って危険にさらしているのではないのか?
海底軍艦のように平和憲法と相容れないようであっても、強力な自衛力の保持が不可欠ではないのか?
そのようなメッセージを発しているように思われます
まあそんなことはともかく
東宝特撮シリーズなんです
小難しいことは頭から追い出して、海底軍艦のカッコ良さに酔いしれましょう!