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赤い河 Comments (7)
ローハイドは、ホワイト経営。人望のある隊長、能力高く士気の高い隊員、そして牛までもお行儀がよい。
こっちのロングドライブは、ブラック、パワハラ。人望のない暴力の隊長。暴走する牛。
どっちが真実のロングドライブなんだろうか?
どっちが真実のロングドライブなのかはわからないが、ロングドライブの歴史の勉強になる作品。歴史的資料としての価値がある。
細かいが気になることがある。この作品でも、ローハイドでも、主食は牛肉(屠殺しながら食べていく)わけだが、もう一つ、粉もの(小麦ないしコーン)が重要な扱いになっている。アメリカ人って牛肉だけ食べてれば満足なんじゃないんだね、やっぱり人間って、炭水化物が好きなんだね、って。人間の食欲のサガみたいなものを実感する。
牛の暴走のシーンは圧巻。どうやって撮影したんだろう。
ブラックなジョンウエインが思いっきりいけてる。
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:60点|ビジュアル:65点|音楽:70点 )
西部テキサスの地を開拓し、原住民や先住民と戦い戦争をくぐりぬけ牧場を経営してきた男が、一万頭近い牛を高値で売るためにミズーリまで長い牛追いの旅に出る。
なかなかに面白い内容だった。主人公が一方的な凄腕でもなく英雄でもなく、忍耐強く有能だけど頑固で人の管理が下手というのも話に奥深さを持たせていた。旅が上手くいかないからといって彼が酒びたりになって強硬な発言と行動を繰り返し、仲間に見捨てられる展開があるとは思わなかった。
だがいい話なのだが演出が古く、何かと迫力がなかったり重要な部分があっさりと飛ばされていたりする。彼が経験した開拓の大変さや牧場での生活は全く出てこない。牛追いの旅も辛さと寂しさに耐え不安におののく臨場感が欲しい。現在の演出で再映画化すればかなり良い作品になりそう。
そして最後の結末はかなり駄目。仲間内で人も死んでいるほどの深刻な事態を招いているし、喧嘩の直前にも止めようとしたものを1人撃ち殺しておいて、やっぱり好きなもの同士で殺せない、あっはっはっでお終いはないだろう。今までの深刻な対立と苦闘はどうしたのかと呆気にとられた。死者は無駄死。
それでも、ジョン・ウェインの心と体が一致しない男の切なさが魅せるし、モンゴメリー・クリフトの「山河遥かなり」から飛躍した演技に彼だけの魅力がある。ウォルター・ブレナンの存在感が二人を支えるドラマの厚みと最後に登場する商社経営者のハリー・ケリー、映画好きには堪らない。