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夜と霧 Comments (10)
「戦争は、おぞましくも悲しい」この明解な結末に辿りつくまで、膨大な資料と、無駄の無いナレーションを積み重ね、観客を連れて行く。言葉が全てを主張し、電子世界を支配する現代にあっては息苦しさを覚える本作の世界。ただ、そこには証拠をひたすらに並べて私達を納得させていく法廷のような強制力は持ち込まれず、作家、そして観客の想像力を駆使して真相へと導く、映画作品ならではの意欲と挑戦がある。
本作品の中に、興味深い場面がある。囚人達の多くがその儚い命を散らしたガス棟を映しこんだ映像において、天井に無数に刻まれた爪あとを粘着に、沈黙を持って見つめる場面がある。再現シーンを持って描けば事足りる場面を、なぜ沈黙で答えるか。そこには、観客自身に想像して欲しい、感じて欲しいと切に願う、作家の願いがある。体中を黒い闇が覆い、呼吸が弱くなる。それでも、生きたい。この世にすがりたい。その一心で囚人達は天井によじ登り、手を真っ赤にして爪を突きたてた。そこまで感じなければ、思わなければ、この作品を産み落とした意味は無い。作家の挑戦と願いが、この一場面に集約されている。
「戦争は、いけない」この明確な結末に辿りつくまで、30分の冷徹な視線は観客を挑発し続ける。頭が痛い。目を背けたい。それでも、人が人を苦しめていく歴史を繰り返す人間としてこの先も、生きていくならば、この作品を一回、見ておいて欲しい。そして、想像して欲しい。どこまで、暴力は、卑劣な欲望は、人を変えていくのか。
次の出会いはCATV。
二度も観てしまいましたこの映画、というよりドキュメンタリー。
現在のアウシュビッツと過去の映像をうまく組み合わせながら淡々とナレーションが流れていきます。
途中、死体やら切断された顔と体やらが隠されることなく、当時の映像そのままを流しています。
初めて見た時は、衝撃すぎて、本当にめまいがしました。
そして、二度目に観て思ったことは、
この人たちにはちゃんとした生活があって夢もあっただろうし、
でも殺されるってわかってて今日を生きる絶望感って、実は死よりも苦しいのでは、ということ。
たまに、夢で絶望を感じるときってありませんか?
けど現実世界でわたしがこんな絶望を感じることはおそらくないと思います。
それは 現代の 日本に 生まれたから、とってもラッキーだからです。
とか考えてると31分のフィルムはあっという間に終わってしまいます。
これを観た次の日の朝の目覚めはすっきりしなくなりそうです。
あと、誰かと観るのはオススメしません。
観終わった後、ひとりでいろいろ考えてください。
…というかしばらく人間をみたくなくなります。
一転して戦時中の白黒映像。現存するドキュメントも少ないだろうけど、そこには何も知らされずに駆り出されたユダヤ人の姿。点呼を取ろうにも毎日数字が合わないという現実がそこにはある。収容所内には三段ベッドが狭苦しく並び、飢えと渇きに苦しむユダヤ人たちが生き残るために略奪をも行っていた。そのくらい死と隣り合わせの状況だったのだ。
最初は過酷な労役を与えられ、人体実験、毒ガス室、すべては死に追いやりユダヤ人を絶滅させようとするナチスの悪魔性が垣間見えるのです。殺戮は敗戦が見えていても続けられ、火葬場において燃料が足らなくなったために土の中へ。死体から石鹸をつくるなどという話も聞かされると、もう石鹸を使うことすら躊躇ってしまいそうだ。
多分、ドイツ軍が撮ったと思われる記録映像。頭部だけの死骸の山だとか、皮膚がただれてしまった死体だとか、本物の映像には目を背けたくなる。しかし、これがナチスが行った真実の愚行。戦争はこれほどまでに残酷な悪魔を生み、そうした戦争をいまだ続けようとしている者がいる事実。誰が気づく?誰が止められる?こうした映像を見せられても気づかない?
32分という短いドキュメンタリー映画ではあるけど、人の人生をも変えてしまいそうなショッキング映像のオンパレード。反ナチ反戦の映画も数多く作られているけど、真実に勝るものはない。しかし、この映画を参考に作られた映画もまた真実のはずだ。『シンドラーのリスト』の映像なんて、これそっくりに作られていたんじゃないかと、また観たくなってしまった。
特集上映の中の1作として上映されていました。
製作年度が1955年ですから、
ホロコーストものの初期ドキュメンタリー作かな
そんな予想のもと、鑑賞をしてきました。
☆彡 ☆彡
時代が古いからかなぁ
映像の自主規制のようなものなかったんでしょうね
衝撃映像、てんこ盛りだわ。32分が、あっという間だった
1955年現在の強制収容所と
1930年後半から実際に人々が
収容されていたときの白黒映像を
交互に行き来させながら進められていくドキュメンタリー作品です。
余分な演出は一切なく、
ナレーションも少なくしていますので、
当時の映像と写真に言葉を失います。
切り離された頭が
無数にならんでいる写真もあり、
なんどかスクリーンから眼をそらしてしまいました。
それにしても
ホロコースト作品って
一体何作品あるのでしょう。
そして
一体切り口の数は幾つあるのでしょう。
戦争のおぞましさ
人間のおぞましさ
いつもながらに閉口してしまいました。
☆彡 ☆彡
ただ、きっと
これだけの数の作品が作られているということは
ドイツ側も史実を認め謝罪をしているからですよね。
翻って我が国は、
香川照之さんも出演されている
中国映画『南京南京』。絶対に日本国内では上映されないでしょう。
二度と繰り返してはならない過ち
“32分間”突きつけられ続けます。
興味のあるかたは、体調を整えた上で、ご鑑賞下さい。