春夏秋冬そして春

7.1/10
Total 17 reviews
Runtime   102分
Language   韓国語
Area   韓国
Written   キム・ギドク
In Theaters   Oct,30 2004
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春夏秋冬そして春 Plot

1996年のデビュー以来、人間の痛みと悲しみ、社会への憎悪を独特の映像美と残酷性で描いてきた韓国の異端作家、キム・ギドク。山奥の湖の湖面に佇む小さな寺を舞台に、ひとりの男の人生を5つのエピソードで語る美しく静謐なドラマ。山水画をほうふつとさせる韓国の名勝の国立公園をロケ地に選び、国民的民謡歌手キム・ヨンイムが歌うアリランが、映画を情感豊かに彩る。

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春夏秋冬そして春 Comments (4)

Leepsmasoe
Leepsmasoe
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春:深い山、湖の真ん中に浮かぶ小さな寺。老和尚と幼子が暮らしていた。幼子は小動物を捕まえては紐で縛り遊んでいた。和尚は少年に石をくくりつけ「3匹の魚、蛙、蛇のうち、1匹でも死んでいたら、一生心に石が縛りついたままだ」と言う。魚と蛇は死んでしまった・・・

夏:17歳に成長した少年。寺に養生にやってきた少女と恋に落ち、結ばれる。少女の病気も治り、引き離されることになるが、寺を抜け出すことに・・・

秋:10数年後、寺に戻ってきた男。愛する妻に裏切られて逆上していた。「人を殺めたからといって、自分を殺してはならない」という和尚。猫の尻尾で般若心経の文字を書き、それを彫らせることによって怒りを鎮める。

冬:出所し、寺に戻ってきた男。和尚はもういない。秘伝の書を見つけた彼は肉体の鍛錬に励む。そこへ赤子を連れた、顔を覆った女性がやってくる・・・

季節によって男の情感をたっぷりに描き、映像とともに心も揺れる。余計な台詞など一切ないドラマなのに、ここまで訴えてくる映画は少ない。目、口、耳に“閉”と書いた半紙を貼り自殺する様子。門外に出るときには必ず仏像を背負っていく姿、冬の章で石を体にくくりつける映像と小動物のフラッシュバックの対比が見事。輪廻転生のような寺の移り変わり。自然とともに寺が朽ち果てるまで何代も続きそうな未来にそれぞれの人生を重ねてみるのも面白い。
dalfnsw
dalfnsw
ネタバレ! クリックして本文を読む
奥深い山と湖に囲まれた寺で生活する老僧と少年僧の人生の春夏秋冬を描いた作品。
少年僧が魚やかえる、蛇に石を結びつけて遊んだのを見て老僧が三匹のうち一匹でも死んだら一生心に石を抱えて生きると予言したとおりの生涯を少年は生きることになった。
夏で青年となり愛を知るようになった男に老僧が言ったのは、欲望は執着を生み執着は殺意を生む。
その予言も当たり青年僧は妻を殺すことに。
秋では妻への怒りと、憎しみを制御出来ず苦しむ男に老僧が般若心経を彫るように諭す。
そして老僧は1人に、なったあと閉とかいた紙を、目と口と耳に貼り船に薪を積み火をつけて自らの一生を終えた。
冬は服役を終えた僧が寺に戻り修行するがある日スカーフで顔を覆った女が赤ちゃんを置きにくる。
また春が来てかつての自分が魚やかえるに殺生したように預かった子が、カメにいたずらするのだった。
そうしてまた年月は重ねられてゆくのだ。
とにかく映像が美しく見入ってしまった。
蛇が時々現れる。蛇の持つ霊的なイメージがまたこの作品を秀逸なものにしたと思う。
Stuirpewiserh
Stuirpewiserh
季節ごとに自然が顔を変える様に、湖の真ん中にぽつんと浮かぶ寺と、そこに住む人々の暮らしも時に美しく、残酷に変わってゆく。

閉ざされた空間であるが故に、その場で起こる出来事は彼らのみが知ることであり、幻想美に満ちた情景は官能的ですらある。

ただ、罪を犯し俗世から戻ってきた青年は顔が変わりすぎではなかろうか・・・。
abqpko
abqpko
キム・ギドク監督は、図抜けた演出力で観客をひきこむ問題作を常に発表し続けている、韓国映画界の星のひとり。しかし、あまりに個性が強すぎることから、一本見たらもういい、と言う映画ファンも多いようです。
そんな、キム・ギドク映画嫌いの方でも充分にこの監督の演出の素晴らしさを堪能できるのが、この作品なのです。
美しい山々の風景の中にたたずむ湖に浮かぶ古寺が、まるで童話の世界のように神秘的に感じる、見事なオープニングから一気に観客の心は引き込まれます。その全編を通した映像美から描かれるのは、恨みや情によって惑わされる人間の一生の物語。キム・ギドク監督は、特に説教くさい演出などせず、登場する古寺の住職と同じように、物静かに悪をたしなめ、人間の業を美しい湖の風景の中で見つめます。キム・ギドク監督の作品には、時に怒りや狂乱が見られる場合もありますが、この作品では、怒りや狂乱も美しい風景の中に沈み、ただも、癒しの空間が残るのみ、というのが、何より魅力的なところです。
キム・ギドク監督の作品が苦手な方は、特に、この作品を見て、あらためてこの監督の才能の凄さに感心してほしい、切に願うばかりです。