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赤い風船 Comments (7)
再びスクリーンにて上映。
先日シネスイッチ銀座で鑑賞しました。
セリフもない、派手なストーリー展開もあるわけでもない、
至ってシンプルな映画です。
ですが、CGを使わず風船をまるでひとつのキャラクターのように動いているところは本当に圧巻で、「どうやって撮影したんだろう?」と思わずにはいられない。
パスカル少年のあどけなさも映画の最大の魅力の一つ。その純粋無垢な
笑顔に救われました。
全編を見て、シンプルな構成。単純なストーリー。50分足らずの短編であることを総合すれば劇場映画であることに不満を抱かざるを得ないというのが、率直な感想です。しかし、この名作は逆に観客である小地蔵に問いただすのです。おまえはなにも感じないのかとね。
VFX全盛のこてこてのエンタ作品に慣らされた身になっている方にとっては、映画に詩情を感じなくなっているのかもしれません。
今振り返ってみると、すごくこの作品にはポエムを感じます。
パリ・メニルモンタンの細く長く伸びた路地裏。
ベルヴィル公園から屋根越しに見えるパリ市街。
電灯に引っかかった、赤い鮮やかかでまあるい大きな風船。
手を離してもついてくる不思議な風船。
風船と友達になる少年。
友情のために悪ガキからの石投げにも逃げようとしない風船。
萎んだ風船の代わりに、次々起こる不思議なこと。
本当に少年パスカルに「反応」する赤い風船に、いのちを吹き込んだラモリス監督は、映画監督より詩人ですね。
台詞を思い切り絞り込んで、演技と場面のつなぎだけで伝えたいことが手に取るように分かりました。
ラストのとってもファンタジックな映像を見るに付けて、これは作品の出来よりも、観客の感じる心がためされているなぁとつくづく思いました。
ラストに感じたのは、自由です。
人は大人になると、様々な経験したことで自分の考えに縛りをかけて、「常識」の範疇でしか考えられなくなります。まだ魂として生きていた頃、肉体に宿り赤子として生まれた頃、そして少年時代を通して、心はどんなに自由に、無限の可能性を思い描いていたことでしょう。
この作品のラストを見て、こんな発想が出来るなんて!と感動しました。そして忘れていた「あの日々」に感じていた瑞々しい感じ方が蘇ったような気になりました。
ラモリス監督は、このラストに持って行く複線として、赤い風船を持ち歩くパスカルがどんなに不自由な扱いを受けたのかを描きます。そしてあの悪ガキたちにもいじめられいたのでしょう。
この複線があるからこそ、トンデモなラストに関わらず、自由に向けたふんわかな飛翔感とカタルシスを味わうことでしょうね。
日々ストレスと夏バテでお疲れ気味の方には、こういう理屈抜きで癒される作品がお勧めです。堅くなっていた心にイマジネーションの輝きが流れ込むと、きっと効果アリですよ。
真っ赤な風船がまるで意思を持っているかのように、というか意思を持ってあちこち旅をしている。
その風船と少年の友情みたいな話だったように思うのだが、昔の記憶過ぎて思い出せない。
随分と頑丈そうな風船で、子供心にこれは風船じゃなくてボールではないかと思ったものだが、そうそうこの年にリバイバルしたのは覚えていて、見に行きたかったが結局時間がなくて見に行けなかった。
石段を風船は転がったり跳ねたりその様子がとても美しい。
こんなにも素敵な映画があるんだろうかと思ったくらいに素敵な映画だったのを覚えている。
制作が50年代というのは驚きだ。
80年代くらいにできた映画だとばかり思っていた。
この作品がまた世に出ることを切に願う。
何の変哲もない赤い風船と、少年。この最小限の要素だけで、ここまで観客の創造力をたおやかに、豊潤に膨らませてくれる世界がある。この一点を知っているだけで豊かになる誰かの人生がある。ただ、それだけで嬉しい。
フランスという国の持つ薫り高い気品が、日本人として純粋に羨ましくなる。雨上がりの石畳、細い裏道を優しく、申し訳ないように流れる水の流れ、くたびれたトロッコバス。街全体が物語を包み込み、一人と一個を繊細な魅惑の悪戯に連れて行ってくれる。
どこか異国の雰囲気漂う音楽に乗せて、台詞を徹底的に排し描かれるのは、路地裏で街の人間の噂話に興じる野良猫を盗み見たときに感じる異邦人のような気恥ずかしさと、心に広がる暖かな共感。
君が、いる。君と、いる。それだけで、嬉しいんだ。
言葉で説明する必要は、本当は無いのかもしれない。誰か、小さな喜びを日常に見つけたときに、満面の笑顔で「いいね、素敵だね」と一緒に喜んでくれる人が側にいる貴方なら、きっとこの作品を楽しめるはずだ。
雨上がりに、君と歩く。それだけで・・きっと、幸せなんだと気付かせてくれる極上の一品である。
無垢なストーリーが、しみる。
あの風船は左右から引っ張るか、重たい気体を入れて上から吊るすか、下から引っ張るか、いろいろ考えたけど不思議。