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パリ20区、僕たちのクラス Comments (13)
生徒たちは人種や国籍、性格や家庭問題等の悩みを抱えているのは理解できるが、その鬱憤を他人を小馬鹿にして発散しているよう見受けられる。更には教師たちも、生徒の話を聞かず、ユーモアもなく、怒鳴ることでしか生徒の耳を傾けられないクソ教師と感じた。主役教師ですら、感情移入できないのだから相当である。
物語も起承転結もわかり難く、勧善懲悪や登場人物が改心するなど、日本人には好みにくい内容であった。
評価が軒並み高いのだから、賢い人が観れば、得るものがあるのだろうが、 少なくとも私は他人に勧めようとは思えない作品である。
全く救いの無い似非ドキュメンタリー作品。
一見ドキュメンタリー映画の様に見せてはいるが、実際は主人公の国語の先生が歩く・喋る・憤る一歩先を、常にカメラが回り込むポジションから撮影されている。この《川口浩》状態のオンパレード。
これは作品全体にシナリオが存在しており、それに基づいて撮影されている。
観ていてもフランスの社会生活に於ける人種の問題等は、フランスの教育現場に於いて切実な問題なのだなぁ〜と、実感出来る。
だからこそ、何故似非ドキュメンタリーの手法を取っているのか?…は、さっぱりと理解出来ない。
まだそれとなく観客側にバレない撮影ならばわかるが、とにかく全編で似非ドキュメンタリーとわかる。例えば、転校生がやって来ればカメラは反対側へ…。
問題児が教室を退出させられる場面では、前と後ろからカメラが待ち構え、怪我をする女子生徒の顔をご丁寧にアップで撮影…と。終始こんな感じで映画は進んで行く。
そんな撮影や・編集では、誰も「これはドキュメンタリーなんだ…」とは普通感じ無いんじゃないかな?これではどう観ても“やらせ”だ!
内容自体もの凄く面白い。小さな波紋が、やがて大きな津波となってクラスや学校にのし掛かって来る辺り等は、上映時間の2時間以上を全く退屈させずに見せ切ってしまう。
それだけに、「どうです!僕の演出プラン?」的なしたり顔が、スクリーンの向こう側から透けて見えるのが、どうにも個人的には我慢がならなかった。
(2010年7月16日岩波ホール)
※日付けは公開年度
素人だった生徒たちの芝居が、半端なくイイ。それはきっと、撮影前におよそ7ヶ月にもわたって行われたワークショップの成果の賜物。演出スタイルは、ジョン・キャメロン・ミッチェルのソフト版。長時間かけてじっくり熟成させた職人技だ。本当にドキュメンタリーのように日常を切り取っている。美男美女なんてそうそう身近にいない我々の実生活に近いから、それがまた共感を誘うのだ。
教育っていうものが、いかにその人間のパーソナリティ形成の比重を占めるか考えさせられた。勉強とは、人と人との会話や、自分というものを文字や言葉でどう表現するか、それ以外の方法でいかに表現するのか、はたまた表現しないのか、とにかく「考える」ことに基本があるのだと思う。考えるキッカケとしての学校のあり方がどうあるべきなのか、映画を通して鋭く問われている気がする。
映画鑑賞後、この小さなフィルムメイカーたちに敬意を払わずにはいられない。
フランス映画復興の切り札と目されているローラン・カンテ監督が、自国のベストセラーを題材にして描く、ドキュメンタリータッチの青春映画。
本作を、「金八先生」や、「スクールウォーズ」のように熱血、かつ生徒への深い、深い愛情をもった教師と、生徒達の衝突と、熱い繋がりを描く作品と考えてはいけない。
生徒、親、同僚の教師という様々な人間関係の中で一人、孤軍奮闘している教師の姿を主観に置いて作られる物語は、さながら銃弾が乱れ飛ぶ戦場で、武器を持たずに被弾を避け続ける戦士の姿が見えてくる。
冷静に、丁寧に生徒と国語教師、フランソワのやり取りを追いかけていく。しかし、この物語は単純に毎日のありふれた会話を重ねて、何となくやり過ごしていく学園生活を郷愁を持って見つめるノスタルジックな雰囲気はない。
むしろ、日々の討論、疑問、小さな衝突を堅実に積み重ねていくことで、徐々に、かつ確実に熱を帯びていく沸騰、緊張感が画面全体を覆っていく。近年のフランス映画に顕著である、曖昧な要素から観客の想像力に委ねていく作り方とは一線と画した、明確な主張と躍動感。心が追い詰められていく最前線に突き進む戦争映画の恐怖心に似た高揚感すら滲み出す。
それでも、作り手は教育という、答えと道筋のない戦いに絶望している訳ではない。仲違いと、食い違いを容赦なく描きながらも、生徒達が時折浮かべる笑顔は、底抜けに明るく、観客も気持ちが穏やかになる。絶対的な教師と生徒間の協力関係をさり気なく否定しつつ、一瞬の信頼を信じて生徒を肯定的に描く。何かと難しい現代の教育界に対して、的確なアプローチだ。
終盤、教師と生徒が一緒にサッカーに興じる場面がある。ここに、作り手の教育への希望が垣間見えてくる。「共存」という揺れ続ける答えという名のボールを、相手を信じ、パスし、奪い、一つのゴールへ導く。たとえ、卒業までにゴールに着かなくても、いい。共に、探していくのが答えだ。
銃なき現代教師たちの迷いと戦いに、心からの応援と祝福を送りたくなる、極めて豊かな示唆と愛情に満ち溢れた物語である。